【Frontier Plants】基本的なチランジア(エアープランツ)の育て方【フロンティアプランツ】
目次
ここではチランジア(エアープランツ)基本的な育て方、チランジア(エアープランツ)とは一体どういう植物なのか?どうやって育てていくのか?ということを解説していきたいと思います。
見出し
- チランジア(エアープランツ)とは
- 育て方のポイント
- 水やりの方法
- 日常のお手入れ
- 枯れた葉の手入れ
- 開花後の手入れ
- 肥料について
- 明るさ 日照の管理 置き場所
- 季節の管理
- チランジア(エアープランツ)の増やし方
- 子株をつけたままクランプで楽しむ
- まとめ
- 最後に
チランジア(エアープランツ)とは
チランジア(エアープランツ)とは主にアメリカ大陸(南米含む)の熱帯地域に生息する、ブロメリア科(アナナス科)の植物のことであり。エアブロメリア、エアープランツと呼ばれるものの多くがこのブロメリア科チランジア属の植物のことを言います。
チランジア属は原種で600種を超え、園芸品種も含めると2000種を超えると言われています。
非常にユニークな姿と魅力的な花を持つこの植物は熱帯アメリカの砂漠地帯から高山地帯、密林地帯など幅広く分布しており、岩場や樹上、砂上など生息環境も様々。
厳しい環境でも生き抜くためにトリコームという器官を持ち、根から水を吸うのではなく葉全体のトリコームで水を吸収することから、土のいらない植物、エアープランツと呼ばれ親しまれています。水を必要としない植物ではなく、土のいらない植物であり水を好む植物なのです。
チランジアは葉の色から銀葉種と緑葉種に分けられ。見た目の形状からロゼットタイプ、有茎種、壺型種、タンクタイプ、グラスタイプ、などに分けて呼ばれることもあります。
また交配種と呼ばれるチランジア同士を掛け合わせた種も非常に魅力的であり、美しい花、ユニークな姿、通常では考えられない色の葉、などなど掛け合わせることで新しい魅力を作りだすことも盛んに行われています。
自分だけの交配種を作り出すことも可能ですので是非覚えておいてください。
銀葉種
トリコームが厚く葉の色が銀色に見えることからそう呼ばれています。チランジアの多くの種がこの銀葉種で乾燥に強く明るい光を好むタイプが多いです。
緑葉種
トリコームが少なく葉の色が緑色をしているものを緑葉種といいます。高い湿度を好み、柔らかい光を好みます。
赤葉種
通常開花期のみ葉が赤く紅葉するが、明るい光の環境で常に葉が色づいている種も存在する。
壺型種
根元が壺のように膨らんでいることからそう呼ばれている。アリと共生するアリ植物も多い。
有茎種
茎を伸ばしながら成長していく種。カウレッセントフォームなどの名前で呼ばれることもあります。
タンクタイプ
中心が筒状になっており水を貯めながら管理するタイプのチランジア。タンクブロメリアの管理方法で問題ないが直射日光は葉焼けするタイプも多く注意が必要。ほとんど軟葉系のタンクブロメリアである。
ヴィヴィパラ種
開花後、花茎の途中から子株を出す変わったチランジア達のことをヴィヴィパラ種と呼びます。非常にユニークな姿に成長してくれます。
交配種
チランジア同士を掛け合わせることで新しい種として生み出された園芸種と自然の中で交配した自然交配種とがあります。壺型と有茎種などのユニークな組み合わせなども多く非常にユニークな種も多いです。作り出した人間が好きに名前をつけることもできるので、自分で作った交配種に名前をつけることもできますよ!
育て方のポイント
- チランジアは置き場所が重要。明るい窓辺や直射日光のあたらない屋外などがよい。
- 直射日光は葉やけの原因になるので、明るい日陰から半日陰で管理する。直射日光の遮光は40%ほど
- 新鮮な空気と明るい光が必要。風通しに気をつけて。
- 水やりは週に2回ほどを目安にする。夕方から夜間にかけて行います。
- 10℃を目安に室内に取り込み 明るい窓辺で管理する。
- 暗いところでの水やりは枯れる原因。
- チランジアを良く観察して水切れのサインがないかチェックする。
水やりの方法 タイミング
チランジアは厳しい環境に生育していることが多く乾燥に良く耐えます。しかし水が不足すると必ずサインを出してくれます。葉が丸まってきたり、葉先が茶色くなったり、重量が軽くなってきたり。そのサインを見逃さず、水やりを適宜行ってください。
チランジアは前述したとおり葉の表面から水を吸収します。タンクタイプを除き根にはほとんど水を吸収する機能はなく樹木や岩などに着生する役割のほうが大きくなります。
チランジアは常に濡れた状態を嫌うため数時間で乾く程度がちょうどいいです。また気温が高い時間に水やりを行うと蒸れて枯れる原因になるため夕方から夜間の涼しい時間に行ってください。翌朝の気温が上がる時間までには乾くように水をあげるのがベストです。
屋外であれば雨に濡れても大丈夫ですが、梅雨の時期など2日間以上雨に当たる場合は避けたほうがいいです。
また冬季と夏季はチランジアの成長が鈍る季節でもありますので水やりは控えめにしてあげてください。
水やりは3つの方法があります。それぞれ自分にあったスタイルや置き場所、チランジアの種類によって自由に選ぶといいと思います。
ミスティング 霧吹き シャワー
ミスティングは霧吹きなどでチランジア全体をしっかりと湿らせてあげる方法です。一番軽い水やりの方法でテクトラムなどの乾燥気味で管理するものに向いています。
大量に一度に水やりを行えるため数が多い場合などに向いていますが、やや水やりにムラができるのが難点です。
霧吹きだけでなくシャワーなどでチランジアをまんべんなく濡らしてあげる方法も効果的です。葉と葉の間に水が溜まりやすい構造のチランジアは逆さにして水を切ってあげてください。水が溜まっていると腐敗の原因になります。
ディッピング 水につける
バケツなどに水を張り、その中にくぐらせてあげる方法です。
葉と葉の間まで水を行き渡せることができるためしっかりと水やりを行えます。しっかりと水をあげることができる反面水もたまりやすいため、高温期には注意が必要です。
乾燥気味を好むチランジアには向かず、トリコームなどがみすぼらしくなってしまうため注意が必要です。
ソーキング 水に長時間つける
バケツに水を張りその中に2時間~10時間つける方法です。
水やりを10日に一度くらいのソーキングのみで管理することもできます。そしてこの方法はチランジアを乾かしすぎてしまった時の応急処置としても使えます。
ソーキングの一回の目安は12時間以内と思ってください。それ以上チランジアを漬けたままにすると窒息したり腐敗の原因になりやすいです。
水からあげたら逆さにして水を良く切り、日光の当たらない風通しの良いところで乾燥させてあげてください。
日常のお手入れ
チランジアの日常の管理ですが、まずはチランジアを良く観察してあげてください。
水は足りているか?葉先の枯れ込みはないか?トリコームの調子はどうか?子株はでているか?虫は付いていないか?などなどチランジアを良く観察してあげてください。
水が足りていなければチランジアはサインを出してくれます。葉っぱが丸まったり、葉先が茶色くなってきたり、重量が軽くなったり。サインをしっかりと出してくれます。
枯れた葉の手入れ
残念ながら茶色く変化してしまった葉は元には戻りません。茶色くなった部分だけをハサミなどで切り取るか、完全に茶色くなってしまった葉は手でむしってしまいましょう。簡単に取れると思います。
また枯れた葉は美観だけでなく光合成の妨げや、そのままにしていると腐ったりカビが生えたりしますので取ってあげてください。
トリコームと子株のチェック
トリコームが剥げてきたりみすぼらしくなってきたら、水やりの回数が多いもしくは通風が確保できていない、日当たりが悪いなどを疑ってください。
子株は根元からでてくるもの、茎の途中から出てくるもの、ヴィヴィパラ種のように花の茎から出てくるものと様々ですが、子株が出ていればいい調子。順調に子株が育っているかチェックしてくださいね。
開花後の手入れ
チランジアは非常に美しい花を咲かせます。しかし一株から一生に一回しか花を咲かせない一回結実性植物です。
アンドレアナのように直接花を出すものや、コットンキャンディーのように見事な花苞を出してそこから花を咲かせるもの。キセログラフィカのように非常に豪華な花序を出すものなど様々です。
開花期になるとチランジアは色づき紅葉し、これまで以上に美しい姿を楽しませてくれます。
花が終われば親株はいずれ枯れてしまいます。しかし安心してください子供を出して世代交代を行います。その子株を育てることでチランジアを増やし、何回も花を楽しむことができます。
開花後花苞は茶色く枯れてきます。そのままにしておくと受粉していれば種を取ることも可能ですが、チランジアを種から育てると非常に長い年月がかかります。それよりも子株から増やしていったほうがより早く簡単です。
種を取らないのであれば種を作るエネルギーを子供を育てるエネルギーに使ってもらうべく、花茎や花苞をハサミで切り取ってしまいましょう。そうすることで株の消耗を防げます。
チランジアの肥料について
チランジアは肥料をあげることで早く育ちます。しかし早くといっても若干早いかな?くらいですので無くても充分元気にそだってくれます。
もし肥料をあげるのであれば、春と秋の一番チランジアが成長する季節にあわせて肥料をあげてください。肥料は水やりの際に水に混ぜて一緒にあげます。
チランジアや観葉植物は濃い目の肥料を苦手としますので、薄めるタイプの園芸用液体肥料を1000倍程度に薄めて水やりをおこないます。
肥料は毎回ではなく3回に一度程度で充分です。
しかしチランジアの肥料として一番なのは適した置き場所なので、くれぐれも肥料をあげたから良く成長すると過信しないでください。
明るさ 日照の管理 置き場所
チランジアで最も重要なのが置き場所です。
チランジアは砂漠地帯、高山地帯、森林地帯、海岸地帯と幅広く生息していますが、日本の夏の日光と暑さは植物にとっては非常に厳しくほとんどチランジアが葉焼けしてしまいます。
チランジアは木漏れ日のような柔らかい光を好みます。
直射日光であれば30%~50%ほど遮光し熱を遮ります、半日陰や屋外の明るい日陰などが適した場所になります。室内であれば窓辺の光の当たる明るい場所などがいいですね。
また新鮮な空気も非常に重要です。
屋外であれば特に問題はありませんが、室内であれば換気のできるばしょ、空気の流れている場所をさがしてあげてください。
くれぐれもガラスの中に入れっぱなしにしたり、暗い場所に置かないであげてください。一番の枯れる原因になります。
あとは適度な湿度があればなお置き場所としては適しています。室内であれば加湿器などで対応し、屋外であれば地面などが程よく湿気を運んでくれます。
理想的な場所は庭の木につるして管理することとされています。全てのご家庭でそのような環境が用意できるわけではありません。上記に述べた重要なポイントを抑えて自宅の一番理想的な場所をさがしてあげてください。
ちなみに私はマンションに住んでおりますが、ベランダや明るい窓辺で充分チランジアを楽しめていますよ。ベランダは夏の暑さと強風と乾燥に注意すればなかなか適した置き場所ですよ。
季節の管理
春
春はチランジアが成長しだす時期です。最低気温が10℃を上回ったら屋外管理ができますので、屋外へ。
急に強い光に当ててしまうと葉焼けを起こしやすいので、先ずは明るい日陰などで2週間ほどならしてから徐々に明るいところへと移動させましょう。
直射日光は30~40%ほど遮光してあげると安心です。
水やりは週に2~3回ほどを目安にして、成長しているのが目に見えるようであれば大丈夫です。
肥料をあげるならこの季節に!
この時期に開花するチランジアも多くとっても華やかな季節です。
夏
気温に注意する時期です。30℃を目安にして超えるようであれば日陰へと避難させてあげてください。遮光する場合は50%以上にしてあげると良いです。遮光ネットは光と熱の両方を遮ってくれます。
日本の夏はチランジアにとっては非常に暑いと思ってください。特に高山性のチランジアにとっては厳しい時期です。
緑葉種は直射日光には当てず涼しい日陰へと避難させてあげてください。
水やりは週に2回ほど。決して日中には行わないでください。葉と葉の間に水を貯めないようにすることで蒸れて枯れてしまうのを防いでいきましょう。
秋
暑さも収まりまた明るい日陰や直射日光を30~40%ほど遮光してしっかりと明るいところで管理してあげましょう。急に寒くなる日もあるので寒さに弱いチランジアは注意したほうがいいです。
水やりは週に2~3回ほど通常通り行ってもらって大丈夫です。肥料をあげるならこの季節に!
冬
最低気温が10℃を下回る日がきたら屋内へと移動させてください。室内の明るい窓辺で管理します。夜間窓辺は寒くなる場合もありますのでその場合は日光はあきらめ室内の暖かいところで管理してください。
チランジアも成長が鈍り水の吸収も控えめです。しかし冬の室内は思った以上に乾燥しています。室温が15℃ほど確保できていれば暖かい日中にしっかりと水やりを行います。
水やりは週に2回ほど。暖かい日中に行ってください。
室内でも10℃ほどである場合は水やりを控えて耐寒性をあげることで冬越しできます。10日に一度くらいのペースで暖かい日中に水やりを行ってください。
加湿器とサーキュレーターを使用することで冬の室内でもチランジアを衰弱させないで管理できますので、是非この二つは導入してあげるといいと思います。
チランジア(エアープランツ)の増やし方
チランジアの増やし方は2つあり、一つは種を取り育てること、もう一つは子株をとって増やすことです。
種から育てるのは非常に長い時間が必要になりますが、是非一度チャレンジしてみてください。
チランジアの種はタンポポの綿毛のような種です。下の画像の一つ一つが種になります。シードポットと呼ばれそのシードポットがはじけると中から下のような種が出てきます。
この種をピンセットなどで取り出し、湿らせたミズゴケのマットや、ヘゴ板などにこすり付けます。種は濡れた場所にくっつくようになっているので植えつけるというよりもこすりつける感じになります。
培地に種をつけたら、あまり乾燥させないように毎日水やりを行います。すると10日間~20日間くらいで芽がでます。非常に小さな緑の粒のようなものが見えたら成功です。
培地の置き場所は明るい日陰で強風にさらされないところが適していますね。子株はデリケートであり乾燥に弱いので注意深く見守ってあげてください。
発芽から約5年ほどである程度の大きさまで成長します。
子株をとって増やす方法はチランジアは非常に良く子株を出します。開花後や開花せずとも子株を出すチランジアもあります。
子株をつけたまま栽培していくと株部はどんどん大きく成長していきます。親株の半分以上まで成長したら切り離し時期です。
あまり早く切り離してしまうと成長が遅くなってしまうのでなるべく大きくしてから切り離してあげるといいですね。早いものなら一年で親株と同じくらいの大きさまで成長するものもいます。
あまりにも小さな状態で外れてしまったらミズゴケのまっとなどにそっと置いて管理してあげてください。子株は乾燥に弱くなるべく湿度などを確保してあげたほうがいいです。
子株をつけたままクランプで楽しむ
子株は必ずしも取らなければいけないというわけではありません。
子株をつたまま今まで通り管理していただければどんどんと塊状に大きくなっていきます。それも非常に見ごたえがあって美しいものです。
塊状に丸く成長していくチランジア・クランプはなんとも可愛らしく、この一株一株がいっせいに開花した瞬間は感動の一言です。
是非クンラプで育ててみてはいかがでしょうか?
まとめ
- チランジアは置き場所が重要。明るい窓辺や直射日光のあたらない屋外などがよい。
- 直射日光は葉やけの原因になるので、明るい日陰から半日陰で管理する。直射日光の遮光は40%ほど
- 新鮮な空気と明るい光が必要。風通しに気をつけて。
- 水やりは週に2~3回ほどを目安にする。夕方から夜間にかけて行います。
- 10℃を目安に室内に取り込み 明るい窓辺で管理する。
- 暗いところでの水やりは枯れる原因。
- チランジアを良く観察して水切れのサインがないかチェックする。
- 増やす楽しみは人それぞれ 子株を育てる、クランプで育てるのも非常に面白い。
- 肥料はさほど必要ないがあげるなら春と秋に!
- 種をとらないのなら開花後は花苞を取ってしまう。
最後に
非常に長くなりましたが最後までお付き合いいただいてありがとうございます。
私がブロメリアにはまるきっかけとなってくれたチランジア。非常にユニークで魅力的なこの植物は土も不要でコツをつかめば管理も楽です。
私がこのサイトを作るきっかけになったのもこの植物で、チランジアを追い求め海外まで行きました。海外の様々なコレクターや農家の方と情報を交換し、友達となりチランジアに出会わなければ縁のなかった方たちと引き合わせてくれました。
栽培情報をくれたたくさんの栽培家さん達、コレクターの方々、協力していただいた㈱花長の皆様ほんとうにありがとうございます。今でもまだまだ初心者のような私にたくさん情報を与えてくれます。
植物が人と人をつないでくれます。
チランジアがもっと多くの人に触れていただき、知っていただき楽しんでいただけたら幸いです。
素敵なブロメリアライフをお過ごしください。
ありがとうございました。
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